粒子ベース雲モデリングに関するプロジェクト研究員の募集 (2.5年,兵庫県立大学)
課題名
ラグランジュ粒子ベース雲微物理スキーム開発
研究内容
超水滴法 (Super-Droplet Method, SDM) はエアロゾル粒子・雲粒・降水粒子の運動と状態変化を,確率的な粒子法を使って統一的に計算する数値計算手法である(Shima et al., 2009).従来の手法と違い,個々の粒子のふるまいを記述する粒子運動論的モデルを,スパコン上で高速に並列計算することが可能であり,近年国際的な関心が高まっている (Grabowski et al., 2019; Morrison et al., 2020).我々が開発する雲モデルSCALE-SDMは超水滴法に基づく.最近は氷を伴う雲も扱うことができるようになった (Shima et al., 2020).このモデルでは、雲の中で氷晶が生成・成長し霰(あられ)・雹(ひょう)・雪片が形成される様が忠実に表現されており,氷粒子の形状を陽に計算することができる.
本課題では,この粒子ベース雲モデルSCALE-SDMの性能検証と精緻化を進める.特に,孤立した深い対流雲や大雨を伴う雲クラスタを対象とする.採用者は研究代表者の島伸一郎や他の課題メンバーと共同で研究を実施する.
なお,本課題は「局地的気象現象の蓋然性の推定を可能にする気象モデルの開発」(PM 西澤 誠也,理化学研究所 計算科学研究センター)の中の一課題であり,ムーンショット目標8「2050年までに、激甚化しつつある台風や豪雨を制御し極端風水害の脅威から解放された安全安心な社会を実現」(PD 三好 建正,理化学研究所 計算科学研究センター)の一貫として実施する.
参考文献
- Grabowski, W. W., et al., 2019. Bull. Amer. Meteor. Soc., 100, 655–672. https://doi.org/10.1175/BAMS-D-18-0005.1
- Morrison, H., et al. (2020). J. Adv. Model. Earth Sy., 12, e2019MS001689. https://doi.org/10.1029/2019MS001689
- Shima, S., et al. (2009), Q.J.R. Meteorol. Soc., 135: 1307-1320. https://doi.org/10.1002/qj.441
- Shima, S., et al., Geosci. Model Dev., 13, 4107–4157, 2020. https://doi.org/10.5194/gmd-13-4107-2020
雇用条件
- 雇用期間: 2022年10月以降なるべく早い時期より,2025年3月末まで
- 勤務先: 兵庫県立大学情報科学研究科 (神戸市, 兵庫県)
- 給与: 約34万円.賞与有.交通費支給有.
- 雇用保険は事業主が全額負担,健康保険料と年金保険料は折半
応募資格
- 博士号取得または取得見込みの方
- 英語でコミュニケーションがとれること (国際共同研究を予定)
- 気象学,雲微物理学,エアロゾル科学に関する知識
- 科学技術計算に関するプログラミングの経験
- スパコンを使った大規模数値計算および数値モデル開発の経験があることが望ましい
応募締切
適任者が見つかりしだい終了
応募方法
以下の応募書類一式をメールで島伸一郎 (s_shima@sim.u-hyogo.ac.jp)に提出:
- 履歴書,業績リスト,および推薦者2名の連絡先(応募者の研究経歴について参考意見を求めれれる方)
- 志望理由書: これまでの研究の概要,本課題に特に貢献できること,キャリアプランを含めること
問合わせ先:
島伸一郎 (s_shima@sim.u-hyogo.ac.jp)