2024年10月31日、東京大学大学院理学系研究科修士課程の上野和雅さんを講師に迎え、「Quantum computing for cloud droplet collision-coalescence growth process」というタイトルでセミナーを開催しました。
はじめに、量子コンピュータの基礎について説明いただきました。量子ビットは、0と1が重ね合わさった状態を同時に保持でき、膨大な並列計算を実現します。この特徴により、多次元空間の計算問題を効率的に処理する能力を持っています。その応用として雲粒の衝突併合過程のシミュレーションが挙げられ、従来の手法では計算時間が膨大だったものを、量子コンピュータを使うことで必要な計算リソースが削減され、確率分布などを効率的に求められます。発表では、確率的コレクション方程式(Stochastic Collection Equation)をモデル化し、この解析を量子コンピュータで効率的に行う方法が紹介されました。また、その一方で、実用化にはいくつかの重要な課題があることも示されました。
難解な分野でありながら、基礎から順を追って丁寧に説明されており、内容を理解しやすく、また深く興味を持つことができました。貴重なプレゼンテーションをありがとうございました。